地方公務員必見!あなたの異動希望が叶わない理由【人事調書の書き方】

人事異動のカラクリと攻略するためのコツを教えます

若手・中堅の地方公務員(行政職)として働くそこのあなた。
人事異動で、一度は思いませんか?

人事異動はなぜこうも希望が通らないのか?

私の自治体では、もはや人事異動で希望が通ることは都市伝説では?という噂すらあります。
一方で、なぜか希望が叶う人もいます。

アッチ

実は私も希望が叶っている一人。
気付けば入庁して最初の配属以外は、全て希望が叶っています。

人事異動はどのような要素で決まるのでしょうか。

人事異動が決まる要素(優先順位の順番)
①昇格や在籍年次等のタイミング
②所属元(出す側)や異動先(受け入れ側)の都合
③組織として適切な配置ができるか
④個人の意向や希望
悩む若手公務員

個人の希望は最後なの!?

アッチ

はい。
入れるかどうかすら迷うレベルです。

ではなぜ調書で個人の意向を聞くのでしょうか。
その理由を理解しておかなければ、せっかくの希望を伝える機会をドブに捨てるだけです。

個人の意向を聞く理由

本人の希望を叶えるためではなく、組織の適切な人材配置のための材料にするため。

建前抜きに言うとつまり、
「④個人の意向」は人事課が「③組織として適切な配置をできるか」の検討のために聞いてるにすぎません。

自治体によっては低迷するやる気の向上を目的に、一部の所属への異動を立候補制にしています。
ですが通常の異動では、個人的な希望や思いを書いても、読み飛ばされるだけです。

人事課に従事したことのある私が、これまで異動希望を叶えてきた経験も踏まえ、希望を叶える人事調書の書き方などについてご紹介します。

サイト運営者情報

・民間から県庁に転職、10年ほど勤務。
30代半ばの現役県庁職員。
 現役地方公務員や公務員になりたい人に向けて、人生をより良く生きるための情報発信を行う。

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目次

若手・中堅公務員必見!あなたの人事異動の希望が叶わない理由

人事課は組織全体の最適解を出すために、個々の異動希望はほとんど叶えられません。
それは我々もわかっているため、納得はできなくても受け入れるしかありませんよね。

そもそも人事課が『希望を叶えよう』と思う内容を書いてある人事調書は少ないのが現状です。

多くの人は人事課が参考にしたくても参考にできない内容を書いている

ここでは人事調書や異動希望を伝えるために押さえておくポイントをお伝えします。

【大前提】人事課が優先しているのは組織であって個人の希望ではない

悩む若手公務員

人事課が個人の希望よりも組織を優先させる?そんなの当たり前だと思うけど。

アッチ

では人事調書を書く時は、個人目線ではなく、組織全体を俯瞰した上での内容になっていますか?

悩む若手公務員

え??いや……
だって人事調書は、個人の意向や希望を伝えられる唯一の機会じゃないの?

確かに人事調書は、職員個人が組織に対して自身の意向や希望を正式に伝えられる唯一の機会。
だからと言って、本当にただただ個人の思いや希望を書いても、人事異動を考える人事課が欲しい情報にはなりません。

人事課が求めているのは、組織力を最大化させるための材料です。

あなたの書いた人事調書が組織全体の最適解に資すると思われてはじめて、人事課にあなたの声が届きます。

人事課職員の目線では多くの異動希望理由が理由になっていない

よくあるロジックは

・〇〇に興味がある。
・業務や自己啓発で■■の知識やスキルを習得している。
・それを▲▲の分野で活かすため異動したい。

これを受けた側はどうなるでしょうか。
多くの職員がこのようなことを書いています。

アッチ

残念ながら「そうなんだ。」で終わると思います。

少なくとも異動してもらおうという気にはならないでしょう。

なぜなら決定的に欠けているものがあります。

組織マネジメントの視点が欠けている!

これに尽きます。

組織マネジメントの視点から、自分の知識やスキルを組織の中でいかに活かせるかという説明が必要です。

公務員が異動希望を叶える人事調書にするためのコツ

冒頭にも申し上げましたが、人事異動が決まる要素は以下の順番のとおりです。

人事異動が決まる要素(優先順位の順番)
①昇格や在籍年次等のタイミング
②所属元(出す側)や異動先(受け入れ側)の都合
③組織として適切な配置ができるか
④個人の意向

人事異動の決定にあたっては、個人の意向よりも圧倒的に他の要因が影響します。

個人の意向で人事異動を左右することは困難です。
ですが書き方によって人事調書の内容を「③組織として適切な配置ができるか」の検討材料にできれば、希望が叶う可能性は高くなります

アッチ

私の異動希望が叶った理由の一番はおそらくタイミング。
でも偶然にも、はじめに先輩から教わった方法がコツを押さえていたのかなと感じています。

【心構え】公務員人事課の担当者の気持ちになる

まずは心構えを挙げます。

人事課の担当者の気持ちになる

何をどう書くかは言わずもがな。
加えて、心構えとして誰目線で書くのかという視点が絶対に欠かせません

・理論立てて説明しないと納得してくれない人事課の上司を想像してください。
・あなたは人事課の担当職員として、あなたの人事異動の希望を叶える必要性を説明しなければいけません。
・スキがあると「なぜ?理由は?組織にとってその異動は必要?」と詰められます。

アッチ

そう考えると、書き方には工夫の余地がある気がしませんか?

もちろん通常、管理職でない一職員の異動をここまで理詰めで考えることは現実には無いでしょう。

ですが、自分の希望が組織にとってプラスであることを理論立てて説明できれば、あなたの人事調書の内容を異動の検討材料にできるかもしれません。

最近は人材マネジメントの風向きが変わってきています。
職員のエンゲージメント(いわゆる“やる気”)向上のために『いかに個人の意向を組織に活かせるか』という視点の重要度が上がっています。

そうなればより一層、ここで紹介している内容の重要度も上がります。
ポイントを押さえている人とそうでない人の異動格差は大きくなります。

アッチ

これからは希望通りの異動ができる人とできない人の格差が生じてくると思います。

【書き方】公務員の人事調書を書くときのポイント

人事調書を書く際は「あなたの異動によって組織力の最大化につなげる」という心構えを持ってください。

そのうえでポイントとなることは次のとおりです。

※順番は説明しやすいように入れ替えてください。

  1. 自身の実績やスキル、経験(強みやできること)を示す
  2. キャリアデザイン(やりたいこと)を示す
    ※過去と将来の人事調書の内容に矛盾がないようにする
  3. 異動先や組織全体(やるべきこと)に対して自身の知識や経験が役に立つことを示す
  4. 異動先の業務・職場環境が自分に合っていることを示す

自己分析をする際は『will・can・must』のフレームワークを活用し、ご自身の will(やりたいこと)、can(できること)、must(やるべきこと)を考えましょう。

①自身の実績やスキル、経験を示す

過去の業務で得た知識やスキル、経験を示します。
あなたの強みやできることを整理してください。
また、今はまだ身についていなくても、勉強中のものや携わりたい仕事内容があれば書きましょう。

②キャリアデザイン(やりたいこと)を示す
※過去と将来の人事調書の内容に矛盾がないようにする

自身の実績やスキル、経験を踏まえて、キャリアデザインを描くとともに、自身が希望する部署に異動するべき理由を書く。

特に異動のタイミングとなる昇格や3年・5年といった節目の年度を踏まえて書けると、より実態に則した現実味のある内容になります。

③異動先や組織全体に対して自身の知識や経験が役に立つことを示す

自身のスキルや経験を「希望する異動先で活かしたい」だけでは、異動の理由になりません。

スキルや経験が『希望する異動先においてなぜ活かせるのか、どのように活かすのか』を示し、さらにそれが『組織力向上につながる』ところまで踏み込めると、なお良いです。

なぜならそれこそが人事課が目指していることだから。

人事課が目指すこと
⇒個人のスキルや経験を活かして、組織力の最大化を図る

アッチ

人事調書の記載内容が人事課が目指していることと一致していれば、自然と目に留まる可能性が高くなります。

そのために、異動先の情報収集を行ってください。

情報収集方法
・重要な取組や課題
 ⇒予算の公表資料や総合戦略など
・細かな業務内容
 ⇒事務分掌表
・業務上必要な知識やスキル
 ⇒人から聞く

④異動先の業務・職場環境が自分に合っていること示す

従業員のエンゲージメントを高めることは組織全体にとってプラスとされており、民間企業においては人材マネジメントが経営戦略上でも重要な項目です。

公務員も遅ればせながら、職員のエンゲージメント向上が組織力UPにつながるという認識が浸透しつつあり、人材の配置もその点を考慮される傾向の高まりが予想されます。

令和5年度の人事院勧告においても強調されているポイントです。人事院勧告の内容を紹介している記事がありますのでコチラもぜひご参照ください。
>>職員個々の成長を通じた組織パフォーマンス向上施策

つまり異動先の業務内容・環境が自身のパフォーマンスであったり価値観にあっていると示すことができると、組織全体にとってもプラスになるため、希望が叶う可能性が高まります。

番外編

再現性は低いものの、希望を叶える効果が高い項目を挙げます。

・自身の体調や家庭環境で配慮してもらう事情がある場合
・立候補の制度がある異動先
・人事の人に顔を覚えてもらい、人となりを知ってもらう
 (諸刃の剣ではある)

個人的には、人事から人となりを知ってもらうことも重要だと感じています。

アッチ

最近は色んな自治体で立候補の制度が多くなっていますね。

【事例】公務員の異動希望を叶える人の調書の例

では具体的な調書の一例を示します。
架空の人物で、年齢は30歳くらい。
以下3つの部署を希望しています。

3つの希望部署
・農林水産部門の部署
・土木部門の地方事務所
・土木の監理課

どのような調書になるのでしょうか。
先ほど説明したポイントに段落を分けて記載しています。

(強みを示す)

私は土木の○○課や福祉の○○課で国の補助金業務に従事しました。国土交通省や厚生労働省所管の補助金について、県での執行や市町村への交付事務を行い、また複数回担当した会計検査では、庁内や市町村のまとめ役を担うなど、事務に精通しています。

(やりたいことを示す)

今後、補助金など経理のスペシャリストになりたいと考えており、中・長期的には私の経験を活かして会計課や土木の監理課などで全庁的に国庫を統括する業務に携わりたいです。

そのため、次の異動は経験がない農林水産の○○課や現場の土木の地方事務所において経理を経験し、より一層の知識習得に務めたいと考えます。

(やるべきことを示す)

現在、当県においては経理事務のミスが目立つなど、全庁的な知識やスキルの低下が深刻な課題です。私がこれまでに培った知識や経験を活かすことができれば、県全体の知識の底上げに資すると考えます。

アッチ

さらに字数に余裕があれば、「異動先の業務や職場環境が自分の価値観に沿っていることを示す」ことができればなお良いですよ。

地方公務員が今後の異動希望に参考にしたいキャリアに有効な業務経験やスキル!

やりたい仕事やキャリアを描くのに、どのような業務経験が有効であるか。
県庁の人事部門に携わる現役職員の私がおすすめする、異動希望の参考にしたい業務経験(4選+α)を紹介します。

公務員のキャリアに有効なポータブルスキル
①段取り力
②文書作成
③予算の知識
④補助金業務の知識
『+α』
・デジタル関係の知識

詳細は以下のページに記載していますので、ぜひご参照ください。
>>【現役職員が本音で語る】『異動がつらい』そんなあなたに!公務員のキャリアに有利な業務経験・スキル4選+α

アッチ

お忙しい中、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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